ジムニー 2016年9月19日

F6A K6A 油圧、油温とその対策について。

内燃機加工からあがってきたF6Aエンジンです。

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毎度のことながら惚れ惚れする仕上がりです。

組んでしまうと全く見えなくなってしまう部分ですが、美しい金属切削面を眺めているだけでニヤけてしまいます。

変態ですよね。

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シリンダーブロック上面0.08mm面研、シリンダーホーニング。

ヘッドは0.1mm面研。

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組みあがりが楽しみです。

 

さて、悩ましいK6Aエンジン搭載のJA22ジムニー。

油圧が下がってしまうことは確認できたので、油温計を追加してテスト走行してきました。

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K6Aエンジンは水冷オイルクーラーが付いていますので、水温と油温はある程度連動します。

上り坂が続き油温が100℃に近づくとアイドリング時の油圧が1barを切ります。

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油温はマックス115℃くらいまで上がりました。

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アイドリングでの油圧はご覧の通り。

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ちなみに、純正のオイルプレッシャーセンサーは高温時には役に立たなくなる事が発覚しました。

ここまで圧が下がっても警告灯は点かないのです。

ちょっとこの数値は心配ですね。

 

当社所有のテスト車輌。

エンジンは当社でフルOH。

(シリンダー磨耗がメーカー基準値を超えていたので、最小ボーリングでオーバーサイズピストンを入れています。)

タービンやクラッチも当然交換、通常製作しているコンプリートカーと同等の内容です。

OH後まだ1000kmも走っていません。

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とりあえずブーストと排気温メーターは取り付けてありましたが、必要に迫られ水温と油温、油圧を追加しました。

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場所は散々迷った挙句、グローブボックス内に設置。

追加メーターゴテゴテなのは見た目上あまり好きではないので、これでしたら蓋をすれば隠せます。

同じオイルを入れ、同じルートを走ってみます。

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油温は最高でも105℃くらいまでしか上がりませんでした。

油圧は0.4まで下がりましたが、アイドル回転数が通常よりも低かったせいもあると思います。

1000rpmくらいにしてあげると、油圧は0.8辺りになります。

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市街地の通常走行ではこのくらいの数値で落ち着くのは両車同じです。

 

AT、MTの違いこそありますが、実は当社テスト車輌のエンジン部品でひとつだけ違う部品があります。

元々このエンジンは一度開けられた形跡があったのですが、

チェーンテンショナーがJB23の4型?5型?以降用と思われる物が付いていて、それをそのまま組んでいます。

その時はなぜ?と少々疑問だったのですが、

つい最近JA22用のチェーンテンショナーがこれと同じ物に品番変更されました。

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JA22では使わなかったガスケットを必ず入れるように、とのメーカーのお達しつきです。

単なる品番統合ではなく、なんらかの対策での品番変更のような気がしてなりません。

仮にここから油圧が逃げていると仮定すれば、ガスケットを入れることの説明がつきます。

このお客様の車も一番最初のエンジンには同じ部品が付いていて、

そのエンジンはメタルの焼きつきはありませんでした。

ただし、油温の上昇については関係無さそうです。

そこはやはり、ATとMTの違いでしょうか。

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たまに見かける、コンロッドがシリンダーを突き破る事例。

私が見た中ではその100%がAT車でした。

そして状況を聞くと、ほとんどが高速走行中です。

(当店で販売した車輌では2台このような事案がありました。

いずれも腰上のみのOHで、腰下はそのままの車輌です。

フルOHやリビルトエンジンではこのような事例はありません。)

 

3速ATのローファイナルのため、高速回転が長時間続く→

水温はさほど上がらないが油温は上昇、熱ダレ→

油膜が切れる→

メタルが焼きつく→

コンロッドが折れる(熔ける)→

慣性でシリンダーを突き破る

こんな流れでしょうか。

 

今回は高速というよりも低、中速で急な登り勾配が延々と続くステージで、

ギヤは2速と3速の間を行ったりきたりして、ちょうどいい回転数を維持するのが難しい状況です。

その点MTは細かくギヤが分かれているので、ちょうどよい回転数に合わせやすいです。

 

問題の車はエンジンを再度降ろして分解しました。

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メタルはまだ大丈夫そうです。

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テスト走行で得たデータを基に、

油圧を下げない、油温を上げない対策をして組み直します。

通常走行であれば今までのOH方法でもよかったと思いますが、

このような過酷な状況下でも壊れないエンジンに仕上げなくてはなりません。

もちろん、今後のエンジン製作にもこの経験をフィードバックしていきます。

 

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